発達障害の相談・治療
発達障害とは
発達障害とは、成長の過程における脳機能の発達に関係する障害です。発達障害には、主に下記の種類があります。
- 自閉スペクトラム症、自閉症スペクトラム障害(ASD)
- 注意欠如・多動症、注意欠陥・多動性障害(AD/HD)
- 限局性学習症、学習障害(SLD,LD)
具体的には、言葉の発達の遅れ、読み書きや計算が極端に苦手、不器用、興味・関心のかたより、不注意、集中できない、じっとしてられないなど学習機能や行動に症状があらわれます。幼児期に診断を受けることがありますが、成人になって初めて診断を受ける方も多いです。ASDとAD/HDの特徴が併存することもあります。
ASD
目と目が合わない、相手の考えていることを表情や言葉のニュアンスから読み取るのが難しい、体を前後に揺すってしまう、一つのことにとても強く〇〇博士と呼ばれるほど詳しい、などの症状がありますが、その特性や困難さは人それぞれで人によって違います。生きにくさを抱えてしまい、うつ病や不安障害などが併存することがあります。
医療に求められる役割の一つは診断です。また、人間関係、仕事や家庭生活、趣味の活動、などで困難を抱えていることが多く、当事者がその人らしく歩めるような支援、相談に応じることも医療の役割になります。
薬物療法については、比較的よくみられる“かんしゃく”などに対して抗精神病薬などが使用されることがあります。また、併存する精神疾患(うつ病や不安障害など)には、その病状に応じた薬物療法が実施されます。
AD/HD
注意を持続させることが難しい、順序立てて行動することが苦手、落ち着きがない、待てない、行動を抑制することが困難、などの特徴があり日常生活に困難・苦痛が起こります。当事者の家族や職場に理解を得て必要な配慮や工夫をすることが必要なことがあります。
さまざまな配慮や工夫にもかかわらず、日常生活の困難が大きいときは薬物療法が考慮されます。薬物療法が有効なことがわかっており複数の薬があります。そのうちには精神刺激薬と呼ばれる依存リスクがある薬剤もあり、処方できる医師や薬局が限られています。当院では処方できませんので、ご希望の方には適切な医療機関をご紹介いたします。
SLD,LD
大きく3つの分類があり
①読むこと・内容を理解することの困難さ
②書くことの困難さ
③数の理解や計算の困難さ
以上が、知的障害や経済的・環境的な要因、神経疾患や視覚・聴覚の障害、によるものではないこと、学習面のみでの困難であること、のときに診断されます。明らかな原因はわかっていませんが、出生後の親の育て方や教育は原因ではないとされています。
個別のニーズに合わせた教育的なサポート、SLDに伴うストレスや不安に対処するための心理的なサポートが必要で、継続的に家庭や学校と連携して行うことが重要です。